鬼葬

all lyric by 京 all arranged by Dir en grey
メジャー通算三枚目となるアルバム。間違いなくディルアングレイの転機の切欠となった一枚である。
何となく、消化不良気味。次へ向かうベクトルはしっかりと見えるのだが、いまいち後一押しが足りない感じ。
とかいいつつ別に貶すわけではない。全曲通して激しさが貫くハードなアルバムになっている。
どことなくGAUZEのにおいがするのは、力で押している雰囲気が全開だからかしら。第二のファーストアルバム・・?
最初に歌詞カードを見たときはフッと笑って閉じたが、その後“本物”の歌詞カードを発見。
しかしディルのやることはいちいち分からない。嫌じゃない私も相当か。


□ 01.鬼眼-kigan- □

music by Dir en grey
おどろおどろしいギターからの導入部はなかなか。一曲目らしくて良い感じ。
腹に響く低音と耳をつくいやらしいギター、右から左から入ってくるメロディーなのかシャウトなのか分からん声。
今にもホラー映画のワンシーンが見えてしまいそうな歌詞は、サビが意味不明である。
一応意味は通じるんだけど「花魁干渉」って。「Victimization!」辺りの弾けっぷりは良い。
「京の都に〜」のくだりは最高です。巻き舌が好きです。
徐々に盛り上がりを見せる展開も広がってゆく雰囲気が現れていて素敵です。
ラストに落ちると次の曲が生きてくる。アルバムの一曲目に相応しいハードナンバー。


□ 02.ZOMBOID □

music by 薫
オリジナルのお目見えである。
歌詞が・・という噂を聞いていたものの、蓋を開けてみればそれほどでも。
巻き舌多用で何が何だかよく分からない歌い方になっているし、具体的な名詞が出てるのが逆にいいのでは。
ドコドコ鳴ってるドラムがパンチ効いてて気持ちいい。ひしゃげたギターの響きも心地いい。
全体的に声を潰してる京ヴォイスと絡み合っていやらしい感じ。いいねぇこういうの。
最後に入ってる京くん啜ってますな声に思わずにやりとしてしまう。
因みにタイトルは造語です。


□ 03.24個シリンダー □

music by Die
これといってシングルの時と差はないように思えますが。
02と04が変な曲(失礼)なのでここに入れると一度落ち着くというか、流れが止められるわけでもなく自然だし。
特に02で疲れた後にはカフェインで一息いかがですか的な流れ(謎)
この曲も若い感じがする。行きたい場所は分かるけど微妙に足りてないのかも。
しかしc/wのこの曲をアルバムに入れる必要性はあったんだろうか。
無けりゃ無いで淋しいような気もしなくもないが。


□ 04.FILTH □

music by Dir en grey
シングルと差はないように思えますが。特に変わってないと思う。たぶん。
何となくアルバムの前半に欲しいと思ってたのでドンピシャ。キー高くてメロディアスなサビが気持ちいいね。
ラストの高音は何度聴いても良い。05が淡々と始まるので余計にそう聴こえるのかも。
これといって書くこともないかな。


□ 05.Bottom of the death valley □

music by Dir en grey
実はアルバムの中で一二位を争うくらい好きな曲である。何と言っても声とメロがいい。
ベースで幕を開けるToshiya作曲。らしすぎ。ミディアムテンポだがノリは良い。
Aメロの淡々と、でも優しく切なく歌う声。こういう歌い方が出来るようになったのかと聴き惚れ。
Bメロでは静かながらも巻き舌多用、そしてまたも高音。
サビ(英語部)では腹の底から搾り出すようなシャウトが聴けます。感情吐き出してこその京ヴォイス。
ラストの高音部を歌い上げる声の伸びがたまらなく心地よくてクセになりそう。
何気に引っ掛けてる歌詞も良いんじゃない。
ギターソロはとても難しそうですが揺らぎのあるクリーントーン(でもないか)は好き。
ところでこの曲のサビはどこなんでしょうか。


□ 06.embryo □

music by 薫
NG食らってしまった問題の歌詞が収録されているアルバムバージョンエンブリオ。
・・・これが駄目であれがいいって一体どういうことレコ倫・・・?
ZOMBOIDでも述べたとおり、具体的な言葉が出れば出るほど下手に隠すよりいいと思うんだけどなぁ。
ショートフィルムのようなストーリー性のある歌詞になっている。
最後の一行がタイトルを象徴しているような。シングルの詩もいいけどこちらもいい。
でもやっぱりのぺーっとした曲はあまり好きじゃない。


□ 07.「深葬」 □

music by Dir en grey
SE。深い「しんそう」です。
ブレイクって感じなのかな?06と08の間は普通に繋ぐと変ですかね。
なんかちょくちょく京ヴォイスもあり。何言ってるかは分かんないけど。
格ゲーで使用キャラを選ぶときに流れてそうな曲ですね(失礼)
ただ、08への繋がりはとても好き。


□ 08.逆上堪能ケロイドミルク □

music by 薫
これといってシングルの時と差はないように思えます。ないよ、たぶん。
きもちわるくて面白い曲。ファルセット素敵です。
歌詞は痛すぎるんだけどな。
24個シリンダーと同じく、c/wをアルバムに入れる必要性は・・・この曲好きだけどね。


□ 09.The Domestic Fucker Family □

music by 京
京作曲はギターリフがとても耳に残るとおもう。イントロのガシャガシャいってるの。
歌詞の殆どが英語ですがほぼシャウトなので感情だけ読み取れば良いかと。
タイトル直訳するとエライことになりますがな。
全力疾走っぽく聴こえるけどそうでもないような。微妙にタメてるっぽいサウンド。
メロディーも実は変。ていうか全体的に変。(失敬な)
でも面白いから好きだったりします。
「イントロのギターがゴ○ラっぽいよね」とは友人K談。言われてみれば聴こえる、か・・?


□ 10.undecided □

music by Die
美しいラインに伸びやかな声が乗るミディアムバラード。
しつこいようだがAメロの囁くような歌い方が好きだ。優しく切なく、こういう歌い方惚れる。
サビになると一転して力強く歌い上げる。声のメリハリの付け方が上手くなったなぁと思う。
オクターヴのハモりも美しいし。
生々しくも美しいアコースティックソロはギター隊のかけあい。ツインギターですよ・・!
音が消え、サビの声が入る瞬間は鳥肌が立ちそう。
「手を繋ぐ」など、シンプルだけど切ない言葉が並んでいる歌詞も秀逸じゃないですか。
09からこの曲に繋ぐトラック間の空白もニクイな。


□ 11.蟲-mushi- □

music by 薫
10のアウトロがFOした・・と思ったら始まるアコースティックのイントロ。
バラードが二曲続いたからびっくりしたものの、流れが決まっててかっこいい。
しつこいがAメロの囁くような(以下略)いや、この曲はこういう歌い方が痛みを助長している。
だから後の盛り上がりが映えるというか。
この曲も美しいソロが印象的だが、それよりも全体の流れが非常に綺麗にまとまっている。
のに小ネタも効いている。ちくしょい。
“イジメの歌”と称された歌詞は痛い。最後の方の歌詞には少しびっくりしましたが。
感情を込めて、というか情感を前面に押し出した京ヴォイスも是非ご堪能あれ。
続くっぽく見せかけて終わっちゃうエレキのソロが何とも薫らしい。面白い。
因みにイントロには薫の吐息入り。よーく聴いたら確かに入ってます。生々しさと必死さが伝わるな。


□ 12.「芯葬」 □

music by Dir en grey
SE。芯がある「しんそう」
この流れでのブレイクはありがたいかも。シンプルなリズムの繰り返し&FOなので耳障りも悪くない。
京ヴォイスも入ってません。


□ 13.JESSICA □

music by 薫
シングルと差はないようですが。どうなんでしょうか。
みょんみょんしたギターと派手なツービートで一気にテンション上がってく感じ。
浮いてるわけじゃないけどやはり明るさ(当社比)には度肝を抜かれる気分である。
明るいつってもハードなんだけどね。アウトロのシャウトなんかはかなり好み。
これといって特筆すべき事項はないかな。


□ 14.鴉-karasu- □

music by 薫
変な曲。面白い曲。おかしな曲。そんな曲だから大好き。
まずイントロがおかしい。ぴこぴこみょんみょんギターが鳴ってるんですが。
歌詞もかなり遊び入っててよろしいです。楽しすぎる。
いきなりシャウトで盛り上がり、サウンドも少しずつ変化してゆくのが面白い。
ラストの大サビでは妙な歌い方が聴ける。ゆらゆらしてて楽しいったらありません。
ちょっとヤ○コっぽくしたとはご本人談。言われてみれば確かに。
全体を通して色んな京ヴォイスが堪能出来ると同時にメリハリも小ネタも効いてて素敵。


□ 15.ピンクキラー □

music by Dir en grey
アルバム最速チューン、というかディルアングレイ史上最速チューン。Berryをも超越された。
手でリズムを取ろうとすると手が攣る。
「Burst!」は全部で12回あるが、どれもこれも違う色が出ていて中々素敵。
今まで聴いた事もないような気がするシャウトがたくさん聴ける。声の潰し具合が半端ない。
駆け抜けるような曲だが意外と長いんだなこれが。だからって飽きないけど。
歌詞は漢字が多くてよく分からない。


□ 16.「神葬」 □

music by Dir en grey
SE。遂に神をも葬る「しんそう」
アルバム一好きな曲・・・とか言っちゃいそうなくらい綺麗。
ディルのピアノアレンジはどれも美しい曲ばかりだ。
鬼を葬るアルバムの最後には神を葬ってしまわれたディルアングレイ。さて次はどこへ向かおうか。


2005.05 文責:管理人 BACK